はじめまして。今回のコラムを担当させていただきます、すーせんせいです。
【すーせんせいってこんな人!】
- 特別支援学校教員
- 司書教諭
- 2児の母
- 絵本のブログを執筆中
今回は、あの大人気『しましまぐるぐる』の絵本は、実は認知・発達の視点から見てもすばらしい絵本だった!ということをご紹介したいと思います!
『しましまぐるぐる』ってこんな内容の絵本
『しましまぐるぐる(いっしょにあそぼ)』
かしわら あきお 絵
学研プラス
ご存じの方も多いと思いますが、『しましまぐるぐる』という絵本は縞模様と渦模様を使ったかわいらしい絵がたくさん出てくる絵本です。
しましまがお魚の模様になっていたり、ぐるぐるがペロペロキャンディの模様になっていたりと、子どもが大好きな内容がいっぱいです。
しましま効果で見る力が伸びる?!
タイトルの通り「しましま」がたくさん登場する絵本『しましまぐるぐる』。
実はこの「しましま」こそ子どもを引きつける秘密であり、さらには見る力を育むポイントだったのです!
盲学校では視機能測定(見る力がどれくらいあるか測ること)の時に、縞(しま)視力と呼ばれるしましまの板を使った測定法で視機能を検査する場合があります。
これは、赤ちゃんは縞模様に目がいくという「反射」を利用した測定法です。
簡単に言うと、「しましま」を見せたときの反応を見ることで、どれくらい見えているのかを測定します。乳児や幼児だけでなく、意思の表出が難しい子や指さしが難しい子にも使われたりしています。
つまり、「しましま」は本能的に目を引きつけやすいということなのです!
その効果を利用して、私自身も授業で見る力(視線を向けたり、視線を向け続けたりする力など)を伸ばしたい生徒に対して『しましまぐるぐる』の絵本を読み聞かせしていました。
また、生まれた自分の子に対しても一番最初の読み聞かせの絵本にこの『しましまぐるぐる』を読んでいました。
人間が認識しやすい色
またこの絵本の特徴として、「色使いがはっきりしている」という特徴があります。
見る力に課題があるお子さんにとっては、コントラストがはっきりしている色使いの方が境界線がはっきりし、線や形を捉えやすくなります。
さらに、「人間が認識しやすい色」というものがあります。
「色を表す言葉の数は文化によってどれくらい違うのか」を調べた人類学のある研究によると、工業化された文化圏に住む人たちはだいたい11色くらいの色を表す言葉を持っているのに対して、工業化されていない文化圏に住む人たちの中には、3色しか色を表す言葉をもっていない言語もあるそうです。
しかし、色を表す言葉が少ない文化圏の中でも、だいだい「白」と「黒」を表す言葉は存在するそうです。そしてその次に多い、色を表す言葉は「赤」なんだそうです。
(Basic Color Terms:Their Universality and Evolution.1969)
つまり、「白」「黒」「赤」はどの文化圏でも概念として存在している=「人間が認識しやすい色」なのです。
説明が長くなりましたが、『しましまぐるぐる』の最初の方のページはまさにこの「白」と「黒」で縞模様が描かれていたり、「白」と「赤」で渦巻き模様が描かれていて、さらに目を引きつける効果が倍増なのです!
一部てんかんの方には注意が必要
この『しましまぐるぐる』という絵本はとてもオススメなのですが、一部注意していただかなくてはならない点があります。
「光過敏性てんかん」のひとつに「模様過敏てんかん」というものがあります。この「模様過敏てんかん」は、縞模様・網目模様・渦巻き模様などをじっと見つめることで発作が起こるというものです。
光過敏で発作を誘発しやすいお子さんに対しては、絵本によって発作を誘発する可能性がありますのでご注意ください。
おわりに
いかがだったでしょうか?大人気絵本『しましまぐるぐる』には、認知・発達の面から見ても子どもを引きつける秘密がたくさんありましたね。
「もうちょっと絵本の方を見てくれると嬉しいなあ」というお子さんには読み聞かせレパートリーに加えてみるのもアリかもしれません。
今回のコラムでは特に認知・発達の面を深堀りしてオススメ絵本を紹介しましたが、個人的にも「授業で使ったらもっと学びが面白ろくなりそう!さらに学びが深くなりそう!な絵本」を紹介するブログ(「絵本のチカラ 絵本で授業をもっとおもしろく。」)も書いていますので、そちらの方にももしよろしければ遊びに来てください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※こちらの記事は、特別支援学校の先生であるすーせんせいよりご提供いただきました。ありがとうございました!みなさんもぜひ、すーせんせいのブログをのぞいてみてくださいね(^^♪
この記事を書いた人
すーせんせい(スダ ノブコ)
長女7歳、長男1歳の二児の母。特別支援学校教員であり司書教諭でもある経験を活かし、教育と発達の視点から「授業で使ったらもっと学びが面白く・深くなりそうな絵本」や「もっと人生が豊かになりそうな絵本」を情報発信している。現在絵本作家になるために勉強中。
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