このページでは、障害理解を深める絵本をご紹介します。
実話をもとにした“きょうだいじ”の絵本
しょうじあいか作「ぼくのにぃに」

絵本作家しょうじあいかの長男と子どもたちをモデルにした、障害を考える絵本です。
以下、インスタ等にも投稿した内容ですが、この絵本へ込めた思いです。
「ぼくのにぃに」は、わが家をモデルに作った障害を考える絵本です。
重症心身障害児のいる家庭の日常と、きょうだい児の主人公「ともくん」の葛藤と成長を描いています。
【モデルは、わが家の子どもたち】
うちには、10歳になる重症心身障害児の長男がいます。本書の「にぃに」は、そのまま長男をモデルにしています。
本書の主人公、きょうだい児の「ともくん」は、架空の人物。わが家の8歳長女と、3歳次男を足したようなイメージで作りました。
【この絵本に込めた思い】
「ぼくのにぃに」は、多くの方にわが家のような実情があることを知ってもらい、偏見に気づくきっかけにしてもらえれば……という思いで作りました。
きょうだい児の純粋な視点から描くことで、普段は気付くことのない偏見にも気付きやすくなるのではないかと思ったのです。
実は、わたしたち障害児の親ですら、多くの偏見にとらわれてしまっています。
実際に、わたし自身もそうでした。
息子がうまれたあとのわたしは、「障害児の親になってしまうなんて、なんて不幸なんだ」と思っていました。
息子に対しても、「かわいそう」と感じていました。
でも、あとからうまれた下の子たちの感覚は違ったのです。
下の子たちは、弟や妹と接するように、重い障害のある兄に接し、「ありのままの兄」を受け入れていました。
そこには、偏見も変な気遣いもなかったのです。
わたしは下の子たちのそうした純粋な視点に救われるとともに、自分の中の「偏見」にハッと気付かされました。
しかし、ある日、そんな下の子(娘)に変化がありました。
幼稚園に行きだしてしばらくしたころ、他のママから娘がこんなことを言っていたと聞いたのです。
「にぃになんて、しんじゃえばいいのに」
その言葉を聞いたわたしは、本当にショックでした。
しかし、おそらくその言葉は娘自身の大きな寂しさを表していたのだと思います。
当時、2歳差でうまれた娘と、いつまでも手のかかる新生児のような兄の育児は、記憶をなくすほど大変でした。
娘には、かなり我慢をさせていたと思います。
周囲からの兄に対する偏見に触れるなかで、寂しさと相まって、娘にはどれだけの葛藤があったのだろう……と、当時の娘の気持ちを思うと胸が苦しくなります。
でも、そんな娘も今では兄に対して優しく接してくれます。葛藤のなかで、娘なりの理解をし、成長があったのだと思います。
絵本では、そうした娘の葛藤も描いています。YouTubeの読み聞かせでも、娘本人が読んでくれています。
きょうだい児の純粋な視点は、きっと周囲からの偏見によって歪んでいくのだと思います。
娘が当時、周囲から何を言われ、何を感じたのかはわかりません。
ただ、「偏見」は、障害をもつ当事者だけでなく、周囲にいるさまざまな人を傷つける可能性があると思っています。
この絵本では、きょうだい児の純粋な視点をとおして、「フツウとは何か?」「障害は、かわいそうなのか?」そんな『偏見』を見つめ直してもらえればと思います。
【インクルーシブ社会へ】
現在、世界的に多様性を認めて皆が共に生きる「インクルーシブ社会」への変容が叫ばれています。
インクルーシブ社会とは、障害者などのマイノリティを排除せず、すべての人が公正に、一緒に生きる社会です。
その第一歩は、「多様性を認めること」であり、さまざまな障害や考え方、性格や文化があることを、『知る』ことから始めなければならないのだと思います。
長男を産む前のわたしは、今のわたしのような実情があることを、知りませんでした。
障害児のいる家庭は、どこか別の世界の話であり、目を向けることもありませんでした。
「知らない」ということは、それだけ社会がマイノリティを排除していることであり、当事者たちにとっても生きにくい社会といえます。
しかし、多くの人がマイノリティに目を向けることで、社会は変わっていきます。
そうなれば、息子も、きょうだい児である下の子たちも、きっと生きやすい社会になるでしょう。
まずは、『知って』ほしいのです。
そのために、絵本という媒体を用いて、発信しました。
小さな一歩ですが、何かこの世界を変える一助になればと思っています。
絵本作家 しょうじあいか
この絵本は、販売目的で作った絵本ではありませんが、気に入っていただいた方は購入も可能です。まずは動画を見ていただき、広めていただけるととてもうれしいです。
kidsnaco「ゆめちゃんのいえで」

『ゆめちゃんのいえで』は、車いすに乗った女の子が、動物たちと力をあわせてある挑戦をする物語です。
物語に登場する動物たちは、なぜかコンプレックスを抱えています。
対して、車いすのゆめちゃんはというと、いつも前向き。”わたしなら何でもできる”と、自分を心から信じています。
そうしたゆめちゃんと動物たちの対比から、障害や個性の捉え方を考えていただければと思っています。
障害も個性も、捉え方は自分次第です。
絵本をきっかけに、インクルーシブな考え方が広がっていけばいいなと思っています。

英語版の絵本もあります♪

▼英語版の読み聞かせ動画

吃音を知る絵本「うまくしゃべれないぼくは、へん?」

この絵本は、北海道吃音・失語症ネットワークさまから依頼を受け、しょうじあいかが作成しました。
話すことに苦手さがありながら、吃音を知らず、ひとりで悩んでいる子どもたちへ向け作った絵本です。
脚本は、吃音当事者の方々からも意見をいただきながら、時間をかけて話し合いを重ねて作成しました。話すことに悩んでいる方の勇気になる一冊になればと思います。
この絵本は、北海道吃音・失語症ネットワークさまより、道内の言葉の教室や、各自治体の役所に配られる予定です。
Amazon版絵本の売り上げは、北海道吃音・失語症ネットワークさまのご意向により、全額、障害児支援のための寄付とさせていただきます。
▼読み聞かせ動画を公開しています

「うまくしゃべれないぼくは、へん?」作:しょうじあいか
■サイズ:A4スクエア
■対象年齢:5歳程度~
【吃音に関するお問い合わせ】
▼北海道吃音・失語症ネットワークHP
https://hokkaidokitsuonshitsugo.wordpress.com
【その他SNS】
https://twitter.com/hokkai_kitu?s=21&t=bw5o_VnNvBs2C-IxmjPnnQ
▼note(吃音のあれこれ、当事者インタビューなど)
https://instagram.com/hokkai_kitu?igshid=MzRlODBiNWFlZA==
【聴覚障がい児専門デイサービス】放課後デイサービス ふくろう
……吃音や聴覚障がいのあるお子さんを中心に、ことばの相談や練習をメインに活動。学習につまづきのあるお子さんも受け入れています。
〈問い合わせ・所在地〉
札幌市北区北32条西12丁目1-15 NUビル6F
070-4539-7211
kitsu.net.2021@gmail.com
※北海道吃音・失語症ネットワーク事務所への問い合わせもこちらへお願いいたします。
インクルーシブ絵本「みんなでたっち!」

この絵本は、絵本屋だっこオープン記念の作品として、多様な個性をもつ子どもたちの似顔絵をもとに制作しました。
障がいのあるお子さんには、身体認識や他者の認識などを目的とした発達支援のために、他のお子さんには障がいのある子どもたちはこんなに身近にいるんだよという意識づくりのためにご活用いただければと思っています。
この絵本には、うまれつき疾患をもって生まれたお子さん、経鼻経管や気管切開のためのカニューレをつけたお子さん、酸素をつけたお子さんなども登場します。
ぜひデイや療育施設、幼稚園、保育園、こども園などでご使用いただき、インクルーシブへの「気づきの種」をまいてほしいなと思っています。
▼読み聞かせ動画を公開しています

インクルーシブ絵本「みんなでたっち!」作:しょうじあいか
■サイズ:A4スクエア
■対象年齢:0歳~
絵本屋だっこでは、今後も、障害理解を深めるような絵本を製作していきたいと思っています。