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【連載<カイトの物語>】story8~脳波検査~

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今日のコラムは連載企画、『カイトの物語』第8話です。重心児のパパさんである、小菊さんという方からいただいた文章を掲載しています。

あるとき、『息子からこんな目線で世界が見えていたとしたら』・・・と目線を変えてみたことをきっかけに、息子さんが何を感じて何を思って、何を伝えたいかがわかるようになってきたという小菊さん。

その思い、息子さんから感じ取った思いを発信していきたいとのことで、絵本屋だっこのコラムで<連載企画>として発信をしていってもらうことにしました。

初回の記事にて、小菊さんから発信への想いを伝えていただいています。まだ見ていない方は、以下のリンクからぜひお読みください。

<カイトの物語>第1話はこちら>>

<カイトの物語>をまとめて読みたい方はこちら>>


【連載<カイトの物語>】story8~脳波検査~

僕は母さんの腕に抱かれて窓から外を眺めてる

高い建物の窓からは いっぱい人が出たり入ったりして

時々救急車が 大きな音をたててやってくる

『あっ....きたきた』

『父ちゃんが僕のいる建物に歩いて入ってくるよ』

僕は脳波検査と治療のために入院したんだ

親が1か月間付き添いじゃないとできない検査だから、

元気な母さんは僕と一緒に個室で過ごしたんだ

検査入院とウエスト症候群に合ったお薬を見つけるために...

1か月かかるんだけど、父ちゃんは来る日も来る日もお仕事が終わって

僕がいる部屋に必ず来てくれるんだ

僕が寝てしまった夜遅くになっても来てくれた

おうちに帰って、ご飯も作ってきてくれる

毎日毎日、どんなにお仕事が忙しくても必ず来てくれる

そして僕を抱きしめてくれるんだ

お酒臭くはないけど、汗臭い父ちゃんは必ず抱っこしにやってくるんだ

僕このころはっきりわかったことがあるんだ

ジーッと待ってると父ちゃんが必ず来てくれる』ってことさ

部屋の中では、脳波の機械が『ジーッジーッ』って

音にならない音を立てながら

24時間動き続けてる

脳波の機械からは、コードがいっぱいでてて僕の頭に繋がってるんだよ

1か月間コードが外せないから、お部屋から出れないし遊びにも行けない

寝てる間も脳波をとり続ける検査で結構大変なんだ

僕しんどくなっちゃって 『ギーギー』

泣いちゃうんだけど母さんはずっとそばにいて抱いてくれたよ

起きてるときも寝てるときもずっとずっと一緒にいてくれた

でも本当は母さん 限界が来てて疲れ切ってたんだ

だから父ちゃんが毎日毎日来てたんだ

『ゆっくり風呂でも入ってこい』

って言って、母さんをおうちに帰らせたりしてたよ

僕が苦しむと母さんも苦しくなっちゃうから

なるべく僕が『ヘラヘラ』してなくっちゃ...って

頑張ったんだけど、頑張れば頑張るほど発作が出ちゃうんだ

お部屋の中で息苦しいと 『ストレス』 ってやつが 発作を連れてきちゃうんだ

入院の間にこんな出来事があったんだ

母さんも父ちゃんも、なぜか僕を連れてお部屋からあまり出ないんだ

なんでかっていうと他の子どもを見たくなかったんだ

お鼻から管が入ってる子供や、寝たきりの子ども、元気にお散歩してる子ども、

どれもこれも見たくなかったんだ

【現実を受け入れたくなかったのと、これからどうなるのか不安で色んな

 気持ちと戦ってたんだと思うんだ】

次から次へと経験したことのない出来事が予測なしに起きてそうなっちゃったんだよ

そして、そんな気持ちになる自分たちが、人より物事を乗り越える力がなくて劣ってて

ダメな人間なんじゃないかって....感じるようになっていったんだ

普通の人はきっと一つ一つちゃんと解決して現実に立ち向かっていけるんだって

『そんな器用なことできねーやっ俺には』『だめだ俺は!!』

ってよく父ちゃんがつぶやいてたの僕知ってるし、そういった後は必ず僕にこういう言うんだ

 『ごめんなカイト』

そういって僕の頭を優しくなでるんだよ

なにもできない無力さを思い知らされるたびにこうなっちゃうんだな、父ちゃんは

諦めがわるいのかな~

すぐ心が折れちゃう

他の子の父ちゃんを僕は知らないけど、そんな父ちゃんが大好きなんだ

父ちゃんは僕が入院してる間は強く見せてたけど

本当は心がまた折れちゃってたんだ

でもね...父ちゃんも母さんもこっそり他の子どもの様子を恐る恐るチラ見したりして

一生懸命ダメな自分を乗り越えようとしてたんだよ

僕ぜ~んぶ知ってる

父ちゃんの言うのは

『単純な話じゃないか、、、』

『治療にとって大切なこと、最善を尽くして子どものために一生懸命生きる』

『自分が重病になっても頑張って乗り切ってる人はいっぱいいる』

『子どもが病気で頑張ってる人もたくさんいる』

『みんなうまくやってるじゃないか』

『なんでこんなに心が苦しくて、揺れるんだ』

『なんでこんなに前を向いて突き進んでいけないんだ』

ってことばかり

父ちゃん、ちがうんだ

僕がへらへらしてるのは、父ちゃんたちに

 【本当の笑顔】

を知ってもらうため

 【笑顔の大切さ】

 【笑顔でいられることのありがたみ】

を知ってもらうため

本当の笑顔には、たくさんのものは必要ないんだ

だから僕は興味があるものが少なくて済むのさ

神様と取引したときに、僕の体の自由と引き換えに

 人間にとって本当に大切なものを置いといてくれたんだ

そして人に大切なものを与える力をくれた

 

 ちっぽけなことで とっても幸せだし 

 ちっぽけなことで とっても愛を感じる

 

大人は生きていくのに理由や意味なんてややこしいことが必要みたいだけど

そんなこと本当に必要なの?

言葉もコミュニケーションも不充分で、いつになったら僕の伝えたい事が伝わるんだろう、、、、

神様も随分厄介な役目を僕に与えたもんだ、、、

でもね僕はこの頃から、実は父ちゃんたちの感情が分かるし

悲しみや苦しみが僕に伝わるようになったんだ

でもこの頃はまだ、伝わってきてそれがわかるだけ

数年後にはすごい出来事があって、父ちゃんの心に入っていけるようになるんだ

なんだか不思議な話になるけど、本当なんだ

ところで、長い長い脳波検査が終わって、病院の結果は、、、、、

僕たちは長い検査を終えて、結果を聞くために先生のところへ行った

父ちゃんは自分が撮った沢山のデータをファイルに入れて

潔い顔して

母さんはやっと何か確かな事が聞けると、安心した顔をして

そして僕は、やっとお家に帰れるって嬉しそうな顔をして

先生の言葉はこうだった

『何もはっきりしたことは言えません』

父ちゃんは言った あれだけの検査をして何もないんですか?

すると先生も少し辛い顔をして

『はい』

『この病気は(ウエスト症候群)(重度発達障害)今の状態を知ることしかできないんです』

『脳波は、起きてる時寝てる時共にかなり乱れています』

『ここが乱れている時で、ここが安定している時』

ほとんど安定している時がないと言っていいくらい乱れてるのが、父ちゃんにもわかった。

父ちゃんは言った

『先生それはないでしょう、なにか治療方針が決まるとか

こういう場合はこうしていくとかああしていくとかないんですか?

『薬はどうなるんですか?』

先生はため息のような呼吸をしてゆっくり話し出した

『これといった治療方法が、まだない病気だとはっきりしたわけですけれども、、、、』

『この病気はお薬を探す旅のようなものなんです』

『薬の数も多くはないですが、発作を抑える作用しか今のところないんわけでして、少ないながらもその子に合った薬が見つかるまでこういう事を続けるしかないんです』

『さいわいと言ってはあれですけど、カイト君の場合は合った薬がありそうなので少しづつ使っていきたいと思います。』

『合わなくなったら、また1からやり直しみたいになってしまうんですが、こればかりはどうしょうもなくて、、』

父ちゃんはムキになって言った

『この病気ならこことか、専門の病院はないんですか?』

『1か月ぶっ通しで検査をしてこの結果ですか?』

母さんは言葉にもならず、黙って聞くだけだった

僕は診察室でも、父ちゃんと母さんと僕と3人で居られるのが嬉しくて ケタケタ笑ってたんだ

つづく

 


父親の気持ち

個人病院に居られた癲癇(てんかん)ばかりを研究してる先生は別の病院に移り、もう癲癇は診ないことになり。

この時の病院は、地元では元国立小児病院で評判も良く結果も素晴らしい病院だった

ここからたくさんの先生が独立されて町医者でも予約待ちが多い病院となっていた。

その病院でさえ、何もわからないという状態だとわかり、私は片っ端からネットで調べで専門医を探した。

岡山、名古屋、福岡、東京

結局今の医学でどうしようもないという事がわかり県外に足を運ぶまでは至らなかった。

近年、癌やその他の不治の病といわれたものが今やそうではなくなった事は知りながら、それらの病と同じように考える事はできない事を知った。

私は世間を歪んだ目で見た。

金にならない事は研究さえ進まないのか、、、

患者数が多いなら医学も進んで少ないならどうでもいいのか、、、

希望がない気がして、どうしたらいいのかわからなくなった。

 

この記事を書いた人

小菊

昭和44年生まれ54歳。妻は昭和63年生まれの35歳。重心児の息子は平成27年生まれの8歳(小3)。息子は妻の連れ子で、息子が生後半年の頃に再婚し親子になる。息子の傷病名は、ウエスト症候群、重度発達障害、自閉症。3年前より、息子は入居施設で暮らす。コラムでは、「息子はきっと、こんなことを考えているんじゃないか」と感じてきた内容を、息子の視点からのストーリーとして掲載。


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