もっと早く知りたかった【薬剤師ができること】|医療的ケア児ママでもある現役薬剤師から、ママたちへ
こんにちは!絵本屋だっこコラム担当・相談室ピアサポーターのアイスです♪
ちょっとだけ自己紹介します。
【アイスってこんな人!】
- 寝ること・食べることが好きなアラフォー薬剤師
- 2人姉妹を育てており、次女が医療的ケア満載の重心児
- 福祉の支援やケアが必要な子の日常生活について、お母さん同士でおしゃべりしちゃう感覚でコラムを読んでもらえたら嬉しいです。
もっと早く知りたかった【薬剤師ができること】|医療的ケア児ママでもある現役薬剤師から、ママたちへ
「薬局って、薬を受け取るだけの場所だと思っていませんか?」
子どもを育てていると、
- 毎日の服薬管理
- 飲ませにくい薬
- 経管栄養などのチューブで詰まりやすい薬
- 副作用への不安
- 病院に聞くほどではない小さな悩み
- 外出そのものが大きな負担
- 医薬品の使用期限と保管方法
- 外用薬の使用量とその塗り方
そんな“薬にまつわる困りごと”が、想像以上にたくさんあります。
特に、
肢体不自由のある子ども
医療的ケアが必要な子ども
発達障害のある子ども
と暮らしていると、通院や薬局へ行くこと自体が大きなハードルになることも。
長時間の通院が終わったと思ったら、薬局で薬を受け取るのにさらに待たされる…。
一刻も早く帰宅して一息つきたいのに、病院で医師に伝えた内容と同じようなことを再度確認される…。
使っている医療機器のバッテリーの限界から、長時間薬局で待てないケースもあると思います。
そんな時に頼れるのが「訪問薬剤師」です。
薬局に行かなくても、
薬剤師が定期的に直接自宅に来てくれるので、薬の内容や体調についての心配事を、ゆっくり直接相談できるのが大きなメリット。
ケースバイケースですが、栄養剤・点滴針・カテーテル・注射用水・生理食塩水・消毒用エタノールなど、重くてかさばるものも一緒に持ってきてもらえる場合があります(処方せんでの医師の指示が必要)。
今回は、子育てをする中で、地域の支援職として最も影が薄い存在であろう薬剤師が、どんなふうにみなさんの力になれるのかをお伝えします。

1. 飲ませにくい薬を“続けられる形”に
子どもの服薬でよくある悩みが、「とにかく飲ませにくい」ということ。
- 粉薬(散剤)を嫌がる
- アレルギーの心配
- 錠剤が飲めない
- 経管栄養での投与が必要
- 味やにおいに敏感
- 感覚過敏で拒否が強い
こうした場合、薬剤師は
- 粉→シロップへの変更
- 錠剤→粉砕して調剤、カプセル剤→脱カプセルでの調剤
- 薬や食品のアレルギー歴の確認
- 飲み込みやすい、溶けやすい剤形への変更検討
- 飲み合わせの工夫
- 服用タイミングの調整
- 味の調整の相談(異なる味のジェネリックへの変更、フレーバーの変更など)
などを行い、
「飲める」ではなく「続けられる」を目指してくれます。
ただし、お薬に関する変更をすべて薬剤師が独断で行えるわけではありません。
変更の内容によっては、医師への確認(疑義照会)をする必要がある場合もあります。
私たち薬剤師は、保護者と一緒に、子どもの年齢や状態に応じた服用方法を考えるプロです。
特に、ママ薬剤師は、実体験に基づいた対応を教えてくれることも。
一度帰宅してから、「やっぱり飲めなかった…」という場合でも、遠慮なく薬をもらった薬局に電話して教えてください。
子どもの状態やお薬は千差万別。
年齢、体重、症状、基礎疾患の有無などを総合的に評価して、医師はお薬を処方します。
ネットで調べた知識よりも、調剤してもらった薬局に質問するのが一番です。
その場で回答できなくても、薬局内でみんなで考えていきます。
2. “家での困りごと”を見つけてくれる訪問薬剤師

訪問薬剤師は、自宅に来て、実際の生活の中で
- 医薬品の保管場所
- 薬の飲ませ方
- 残薬の確認、その薬の使用期限
- 家族の負担
- 飲み忘れや飲み間違い
- 余った処方薬の行方
を確認します。
病院や薬局では見えにくい、
“家だからこそ起こる問題”に気づくことができるのが大きな強みです。
たとえば
- 経鼻栄養、胃ろうからの注入方法
- チューブ閉塞の予防
- 飲み忘れないための工夫と管理(氏名や服用日・時間の印字、マーカーでの色分け、一包化の提案など)
- 服用タイミングの範囲
- 緊急時の薬、頓服薬の置き場所
- 学校、デイサービス、施設などへの運搬方法
など、一人ひとりの生活そのものに合わせた提案ができます。
上記の工夫や提案は、もちろん薬局内でもできます。
ただ、慌ただしい時間帯では、なかなか患者さんが本当に望んでいることを把握するゆとりがないこともあります。
訪問では、店にいる時よりも一人あたりの患者さんにかけられる時間が取りやすいため、患者さん本人だけでなく、ご家族の困りごとなどもじっくり聞くことができます。
病院や医師に直接伝えにくい内容や、小さな疑問・不安な点なども聞かせてもらえたら、薬局から病院に問い合わせできる場合もあります。(もちろん、患者さんを悪く言うことはしません)
診察時に直接医師へ伝えたほうがよいと判断した内容については、どうすれば医師とスムーズなやり取りができるのか、ママと一緒に一緒に考えることもできます。
「薬の配達はお願いしたいが、玄関先でササっと薬剤師との会話を終わりたい」と思っている場合には、最低限の聞き取りで退散することもできますので、希望を教えてもらえると助かります。
3.医療的ケア児の薬の悩み

医療的ケア児では、
- 毎日服用する多くのさまざまな形の薬(散剤、水剤、錠剤など)
- 吸入薬
- 座薬
- 点眼薬
- 胃ろう・経管栄養に使う栄養剤
- 頓服薬
- 外用薬(軟膏、ローション、クリームなど)
など、薬の管理がとても複雑です。
退院後、「これ、本当に家で私ができるの?」と感じる保護者は少なくありません。
薬剤師は
- 一包化(服用時点が同じ薬をシートから取り出して、1つの袋にまとめること)
- 頓服薬の整理
- 用法用量・相互作用の確認
- お薬カレンダーや薬管理ケースの提案
- 医師への処方提案
を通して、“家で安全に暮らせる形”を整えてくれます。
うちの娘も、1日3回の定期薬(約20種類の粉薬)や頓服薬などを服用しています。
退院時に病院で渡される時(退院時処方の薬)は、20種類の薬を1つずつ薬袋に入れた状態のこともあります。
「こんな大量の薬、服用のたびに毎回1包ずつちぎるの…?」
と、思わず泣きたくなることも。
このように、薬剤師であっても、大量の薬を1つずつ仕分けする作業は、時間も労力も頭も使うため、とても疲れます。
そのため、うちの場合は、退院時にかかりつけの薬局に退院報告をするとともに、病院で受け取った薬の仕分けを依頼しています。
仕分けの内容としては、一包化のような形(厳密には一包化とは言わないため病院では伝わりにくく、また病院は忙しいので個別対応が難しく、看護師さんが大量の薬を毎回仕分けしている姿を見ています)で、同じタイミングで飲む薬をホッチキスで留めてもらったり、服用時点ごとに(朝食後は赤色、昼食後は緑色、夕食後は青色、寝る前は黒色など)色を変えて、ラインを引いてもらったりしています。(機械によっては、ラインの色も印字できるタイプもあり)
上記は、薬局で行っている薬管理の工夫の一例です。
「薬の整理、大変だな」と思ったら、
まずは薬局にご相談を。
そのご家庭ごとに管理しやすい方法を一緒に考えて実践します。
ぜひ、細かいことでも困っていることを教えてもらえたら、私たちはうれしいです。
4. 子どもの服薬の悩み

ケアが必要な子は、生活に密着した悩みが多くあります。
その悩みに対する症状に、お薬が効果的だと医師が考えた場合、服薬が始まります。
ただし、家で安静にしている必要がある病気でない限り、子どもと家族の日常は続いていく。
朝起きて、ご飯を食べて学校に行き、一日を過ごし、夜眠りにつく。
子どもの1日は忙しいですよね。
そのため、うっかり服薬を忘れたり、人の目が気になって服薬のタイミングを逃したり、飲むと眠くなるからわざと薬を飲まなかったり…。
特に
- 副作用が心配
- 学校生活とのバランス
- 飲み忘れ
- 服薬拒否
は、どんな子にもとてもよくあることです。
定期薬がなく、臨時の風邪薬を数日間服用するといった場合にも起こります。
薬剤師は
- 飲むタイミングの工夫
- 副作用の確認
- 学校との連携
- 医師への情報共有
を行い、“薬を使う”ではなく、“その子が生活しやすくなること”を一緒に考えます。
例えば、子どもの場合は、年齢や発達段階によって食事の時間や生活スタイルが異なります。
子どもや家族の生活習慣を取り入れた管理方法ができているのか。
服薬できなかった背景には何があるのか。
私たち薬剤師は、患者さんとの会話の中から、その裏側を聞き取っています。
薬は、適切に使ってこそ効果が出ます。
服薬を日常のルーティンに組み込み、薬はルーティンに沿った場所に保管してみる。
服薬を忘れない工夫や、薬の必要性について、子どもと一緒に考えるお手伝いができたらなと思います。
5. 「これって大丈夫?」

- 吐いたけど飲み直す?
- 頓服っていつ使う?
- これって副作用?
- 市販薬と一緒に使える?
こうした、小さいけれど大きな不安を抱えるのが育児です。
特に、新しい薬が出たときや、お薬の量が変わったときには、不安が大きいと思います。
実は、お薬によって、
副作用らしき症状が出ても継続して服用していくうちに落ち着く場合や、
その副作用を軽減するためのお薬を追加する場合、
中止が望ましい場合など、
さまざまなケースがあります。
訪問薬剤師は、継続して関わることで、
「この子のいつもの状態」
を知ってくれています。
だからこそ、
相談しやすく、
安心につながりやすいのです。
6. レスパイトのお手伝い

薬の管理が複雑だと、「母しか分からない」状態になりがちです。
でも、
- 一包化
- 時間ごとのセット
- デイサービス用の整理
- カレンダー管理
など、「誰が見ても分かる」方法ができると、
放課後等デイサービスやショートステイなどが利用しやすくなります。
これはつまり、
親が少し休める時間ができる
ということです。
ケアが必要な子の場合、外に持っていく荷物の準備も管理も母が行っていることがほとんど。
研究でも「薬の準備に長時間かかる」「常に待機状態」が大きな介護負担として報告されています。
その負担を少しでも減らすことができたら…。
薬剤師の支援は、
家族全体を守る支援
でもあります。
薬の仕分けは、訪問看護師やヘルパーにお任せしているケースも多いかと思います。
ただ、万が一、薬の仕分けを間違えてしまい、子どもに健康被害が生じてしまったら…。
今まで積み重ねてきた信頼関係が崩れてしまう恐れもあります。
なので、薬剤師としては、薬の専門家である私たちに薬の管理(仕分けなど)をお願いしてほしいと思っています。
患者さんの負担金がいつもに比べてプラスで発生する(もちろん、保険診療内での加算の範囲内の話です。小児医療などで、実質負担金ゼロになるケースも多い)場合には、必ず説明をするようにしていますので、依頼するかどうかもその時に決めていただいて大丈夫です。
7. おわりに
薬剤師の仕事は、
「薬を渡すこと」
だけではありません。
そして、訪問薬剤師は
“家で暮らし続けること”
を支える存在です。
子どもの安心
親の安心
家族の暮らし
その全部に関わることができます。
もし今、
「これ、誰に相談したらいいんだろう?」
と思うことがあれば、
ぜひ一度、いつもの薬局に相談してみてください。
きっと、“薬のこと”以上の支えになってくれるはずです。
実は、薬剤師の働く場所は、病院・企業・行政・ドラッグストア・調剤薬局と多岐にわたります。
その中でも、調剤薬局を選んで働いている薬剤師は、基本的に患者さんに頼られたらうれしいと思う人が多いです。
なかには、
「めんどくさい作業を頼んだら嫌がられる?」
「忙しい中で相談すると迷惑?」
そう思ってしまう人もいるかもしれません。
確かに、薬局が混み合っている時間帯の相談は対応が難しい場合もあります。
しかし、その時には空いている時間帯を案内したり、電話での相談に乗ったりなど、臨機応変な対応をしている薬局もあります。
薬局や薬剤師によって、方針や雰囲気はさまざまです。
もし「自分と何か合わないかも」と感じたら、ぜひ他の薬局にも一度足を運んでみてください。
必ずどこかで、フィットする薬剤師に会えると思います。
これからこのコラムでは、薬剤師としての視点だけでなく、医療的ケア児を育てる母としての実体験も交えながら、障害児ママの毎日に少しでも役立つ情報を発信していきたいと思っています。
「こんなこと、誰に聞けばいいんだろう」
「もっと早く知りたかった」
そんな小さな不安や悩みに、そっと寄り添える場所になれたら嬉しいです。
当事者として、支援者として、そして医療的ケア児ママとして。
頑張る毎日が、ほんの少しでも軽くなるように。
これから一緒に、暮らしのヒントを見つけていけたらと思います。
そして、いちばん伝えたいのは
「どうか一人でがんばりすぎないで」ということです。
悩んだり迷ったりするのは、あなただけじゃありません。
長く続くケアが必要な子との生活、
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