こんにちは!絵本屋だっこコラム担当・相談室ピアサポーターのアイスです♪
ちょっとだけ自己紹介します。
【アイスってこんな人!】
- 寝ること・食べることが好きなアラフォー薬剤師
- 2人姉妹を育てており、次女が医療的ケア満載の重心児
- 資格等
・心理カウンセラー
・睡眠コンサルタント
・絵本屋だっこピアサポーター
・NPO法人絵本屋だっこ副理事
福祉の支援やケアが必要な子の日常生活について、お母さん同士でおしゃべりしちゃう感覚でコラムを読んでもらえたら嬉しいです。
医ケア児ママが選ぶ みんなにやさしい絵本の時間📕
育児にケアに家事に書類に通院…
毎日やることが盛り沢山で、いつの間にか夜になっている。
一日が終わるころには、ヘトヘト。
「もう無理…」と感じること、ありませんか?
こちらのコラムでは、障害の有無や発達のペースに関係なく、どんな子にもやさしく寄り添ってくれる絵本を、ひとりの「がんばるママ」としてご紹介していきます。
子どもに読み聞かせながら、実はママ自身の心にもじんわりと効いてくる絵本を中心に。
今回は、わが家の環境に似ている家族をテーマにした絵本を選んでみました。
『ぼくのおとうとは機械の鼻』という絵本です。
医療的ケアが必要な子や障害のある子どもを育てるなかで、きょうだいの存在がどれほど大切なものなのか、日々感じている方も多いのではないでしょうか。
親がどうしても手が離せない時、「いい子」でいようと頑張るきょうだい児たちは、小さな心にがまんを積み重ねているかもしれません。
そんなきょうだいの気持ちにそっと寄り添ってくれる絵本『ぼくのおとうとは機械の鼻』について、感想とおすすめポイントをご紹介します。
『ぼくのおとうとは機械の鼻』(土畠智幸 作)
きょうだい目線で描かれた医療的ケア児の世界
医療的ケア児を取り巻く家族のリアルな感情を描いているお話です。
対象年齢:3歳〜小学生の兄弟姉妹を持つ家庭にもおすすめ。
おすすめポイント♪
- 兄弟姉妹の見えにくい気持ちに気づくきっかけに
- 親としても、きょうだい児への声のかけ方を考えるヒントに
- 家族みんなで読むことで「うちだけじゃない」と思える安心感を
▽YouTubeで内容公開されています
医療的ケア児とは?
病気や障害のために、日常的に医療的な処置を必要とする子どものこと(吸引、呼吸器管理、経管栄養、胃ろう、ストーマなど)を指します。
多くの場合、医療機器を身につけています。
実は、それは全部「元気にすごすためのお手伝い」なんです。
この絵本では、そんな医療的ケア児を弟にもつきょうだいの気持ちが描かれています。
きょうだい児って、知っていますか?
きょうだい児とは、病気や障害のある子の兄弟姉妹として育つ子どもたちのことです。
彼ら自身は、医療的な支援を必要としているわけではありませんが、家庭のなかで特別な経験や気持ちを抱えながら育っていきます。
育ってきた環境の影響か、きょうだい児はとても周りをよく見て、気をつかう子が多いです。
だからこそ、大人から見れば「手がかからない」「しっかりしている」と思われがちです。
でも、そう見える子どもほど、実は本音を隠していることがあります。
「がんばりやさん」の裏にある本当の気持ち、気づいていますか?
この絵本では、そうしたきょうだい児の複雑な気持ちを描いています。
ふつうってなんだろう?
子どもに医療機器がついていると、それだけで「特別」に見られがちですよね。
「うちの子、人工呼吸器をつけています」と誰かに伝えると、「大変そう」「かわいそうに」と言われること、ありませんか?
わが子の命を守るための医療機器。
子どもが少しでも安全に、快適に過ごせるようにと決断した医療的ケア。
でもそれが、周りの人に「普通とは違う、特別な存在」として映ってしまうのは、少し切ないことです。
そんなとき、何をどう伝えればいいのか悩んでいた私が出会った絵本があります。
それが、この『ぼくのおとうとは機械の鼻』です。
難しい説明はなくても、「この絵本みたいな感じなんだ」と見せるだけで、伝えられることがたくさんあります。
まっすぐなきょうだいのまなざし
この絵本は、人工呼吸器(=機械の鼻)をつけているおとうとと、そのお兄ちゃんの日常を描いたお話です。
弟を中心にまわる生活。
弟が注目されるなかで感じるもどかしさ、自分の中の葛藤、そして家族への想い。
「へんなの」という気持ちが積み重なっていく毎日。
周囲の視線や、時に「自分を見てほしい」という思いが交錯する中で、お兄ちゃんが少しずつ心の整理をしていきます。
「おとうとなんて、いなければいいのに、っておもってるんだ‼︎」
このセリフに、私は思わず胸がギュッとしめつけられました。
たった一行のこのセリフに、お兄ちゃんのどれほどの思いが込められているか。
きょうだい児自身が「これ、自分の気持ちかも」と共感しやすく、また保護者が一緒に読むことで親子の対話のきっかけにもなると思います。
みんな、とくべつなひとり
この絵本の良さは、「説明」ではなく「日常」で医療的ケア児の当たり前の毎日を伝えてくれるところです。
この絵本には、障害名や医療的ケアの詳しい説明は出てきません。
でもそれが逆に、子どもたちにも、大人たちにも、想像する余地を与えてくれます。
そして、おとうとを思う家族の気持ちや、医療的ケアがある日常のリアルさが、ちゃんと伝わってきます。
できないことも多いけれど、それでもお兄ちゃんにとっておとうとはかけがえのない存在です。
この絵本の中には、「ありのままの君で、生きてるだけでうれしいんだよ」という気持ちが詰まっています。
医療機器をつけている子も、そうでない子も、その子らしく、今ここに生きているだけで、特別な存在と私たちに思い出させてくれます。
伝えるのが難しい時、力になってくれる絵本
この絵本、実は説明ツールとしても、とても役に立ちます。
たとえば、きょうだい児が園や学校で「なんで機械がついてるの?」と聞かれたとき。
学校の先生やお友達、祖父母、きょうだい児本人に子どもの状態を説明したいとき。
どう説明すればいいのか迷った時、「この絵本を読んでみてください」と渡せば、きっと伝わるものがあります。
また、きょうだい児が自分の気持ちを言葉にするヒントにもなるかもしれません。
読んでいくうちに、「ぼくと同じだ」「これ、わたしも思ったことある」と心がほどけていくでしょう。
おわりに
医療的ケアが必要な子どもと暮らす日々は、愛しさとともに不安や孤独も伴うものです。
そんな先が見えない困難な日々に、応援してくれる気持ちを感じることができたら「もう少しがんばれるかも」と思えるかもしれません。
この絵本は、お子さんへの読み聞かせにも、大人がふと立ち止まって静かに読み返すのにもぴったり。
わが家では、読み聞かせる大人のほうが、いつも途中で涙をこらえきれなくなってしまいます。
きょうだい児は、小さな胸にたくさんの思いや責任感を抱いています。だからこそ、ときどき絵本で、心の荷物をそっと降ろしてあげてください。
絵本屋だっこにもおすすめの絵本があります
絵本屋だっこには、障害のある子を育てるママに向けて書かれた「大人の絵本」があることを知っていますか?
そのうちの1つに、『生まれる前に約束したんだぁ』という絵本があります。
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こちらの絵本の後半には、以下の医療的ケアなどについての解説ページも入っています。

【絵本内で解説している医療的ケア】
- 経管栄養
- 経鼻経管栄養(お鼻からの食事)
- 胃ろう(お腹からの食事)
- 気管切開
- 吸引
- 酸素
- バギー
※イラスト作成で参考にさせていただいた医療機器等は、メーカーさんの許諾を取得のうえ制作しました。
▼YouTubeの読み聞かせ動画
読み聞かせ動画は、作者のゆっこさん自身が読んでくださいました。
『生まれる前に約束したんだぁ』(医療的ケアについての解説イラスト付き)
さく:ゆっこ
絵:のだそのえ
◾️絵本サイズ
A4スクエア
◾️対象年齢
大人向け
保育園や学校など、医療的ケアについて、具体的に伝えたい時などにぜひ活用してください。
▼英語版もあります
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絵本は、むずかしいことをやさしく伝えてくれる力をもっています。この絵本が、お子さんと心を通わせるひとときのきっかけになればうれしいです。
子どもたちだけでなく、読んだあなたにも、やさしい気づきがありますように。
絵本は子どものためだけのものではありません。
ママも、誰かに「だいじょうぶだよ」と言ってほしい。
そんなとき、ページをめくるだけでふっと肩の力が抜けるような絵本がそばにあると安心です。
子どものケアだけでなく、自分のケアも忘れないでいてほしい。
そんな願いを込めて、絵本を紹介させていただきました。
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<コラムに載せる内容例>
- 障害児ママたちの体験談まとめ【連載企画】
- 障害児向けの便利グッズ
- 障害児育児のお役立ち情報
- 障害児が使える福祉サービスについて
- 障害児の将来に関すること など……
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