このコラムでは、絵本をKDP(Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング)で出版したいと考えている方へ、KDP出版までに必要な作業をマニュアル化し公開しています。ぜひ参考にしてくださいね。
今回は、KDPで電子書籍版の絵本を出版する場合の原稿の作り方とmobiデータへの変換方法をご紹介します(表紙はJPGで用意します)。
※mobiデータへの変換方法だけ知りたい方は、記事後半「PDFデータをmobiデータに変換する方法」の章よりご確認ください。
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【KDPで絵本出版】電子書籍版をつくるときにアップロード可能なデータの種類
KDPで電子書籍を出版する場合、表紙と本文で異なるデータを用意する必要があります。
KDPにアップロード可能な電子書籍用データ形式は、以下のとおりです。
- 表紙:JPG
- 本文:mobi
JPGは画像のデータ形式のため、ほとんどの方が聞いたことがあると思います。
一方、mobiデータは簡単に言うと、文字とイラストのバランスが崩れなくするためのデータ形式です。
Amazon kindleのコミッククリエイターというソフトを使用することで、PDFから変換できます。
まずは変換前のデータとして、PDFで本文を作り、PDFが出来上がったらコミッククリエイターでmobiデータに変換していきましょう。
mobiへの変換は次回ご紹介しますので、今回は表紙JPGデータと、本文PDFデータの作り方をご紹介します。
使用するソフトは、フリーソフトのcanva(キャンバ)です。すでにペーパーバック版を作成している場合の作り方と、新規で作る方法をそれぞれご紹介します。
すでにペーパーバック版を作成している場合の作り方
すでにcanvasでペーパーバック用のPDFデータを作成している方は、ペーパーバック版の手直しで電子書籍版も作成可能です。
まず、canvasのプロジェクト一覧画面から、使用するペーパーバック版データの右上「…」マークをクリックし、コピーを作成してください。
コピーを作成したら、コピーしたプロジェクトを開きます。
電子書籍では、1ページごとに上下または左右にスライドして読んでいくため、文字とイラストを見やすい位置に配置しなおす必要があります。
絵本の場合、イラストと文字は一緒に見られたほうがいいので、今回はイラストの上に本文を配置していきます。
なお、縦・横は読者が自由に決められるため、原稿も決まった方向はありません。イラストサイズは小さくなりますが、横向きにしてイラストと本文を左右に配置してもOKです。
イラストのページに本文を貼り付ければ、電子書籍用のページの完成。すべてのページを同様に作業してください。
なお、電子書籍の場合はマージンや裁ち落としを気にする必要がありません。ペーパーバック版と比べると、比較的エラーも出にくいため、テキストも感覚で配置してOKです。
すべてのページを直したら、PDFデータとして書き出します。画面右上の「共有」をクリックし、表示されたメニューから「ダウンロード」を選択してください。
ダウンロード設定画面では、「PDF(標準)」を選択します。すべてのページが選択されていることを確認し、ダウンロードボタンからPDFデータをダウンロードしてください。
このあとは、コミッククリエイターでmobiデータに変換することで、KDPへアップロード可能になります。詳しいやり方は記事後半「PDFデータをmobiデータに変換する方法」の章よりご確認ください。
新規でPDFデータをつくる場合のやり方
次に、電子書籍版の絵本を新規で作る場合のやり方を簡単にご紹介します。
canvaで本文用のPDFをつくる
ホーム画面を開き、画面右上の「デザインを作成」ボタンを押します。すると、下部にポップアップのメニューが表示されるので、「カスタムサイズ」をクリックしてください。
カスタムサイズをクリックするとサイズの設定ができるので、好きな絵本サイズでプロジェクトを作成しましょう。
電子書籍はタブレットやスマホなどから読まれることが多いため、少し大きめに、縦長のA4サイズくらいで作るといいでしょう。
縦型A4サイズの場合、「横210×高さ297 単位:㎜」に設定しましょう(作りたい絵本の片面のサイズ)。
プロジェクトが立ち上がったら、テキストや画像を配置し、絵本を仕上げていきます。
電子書籍の場合は枚数の制限やテキスト配置位置のルールもないため、自由に配置してOKです。
canvaにタイトルや文字を入れる
まず、絵本では中表紙ページ(1p)に絵本タイトルを入れます。
文字を入れるときは、「テキスト」→「見出しを追加」の順にクリックするとページにテキストボックスがあらわれます。「見出しを追加」の文字を編集し、タイトルを入れてください。
文字の字体やサイズは上部のメニューから変更できます。
ほかにも、エフェクトなどもいろいろ設定できるので、こだわりたい方は試してみてください。
canvaのページを追加・複製する
2ページ目を作りたい場合、下部の「+ページを追加」ボタンか、右上の+マークのボタンで白紙のページを追加できます。もしくは、ページを複製ボタンでページを増やしていきます。
ボタンを押すと、下部に新しいページが追加されます。
canvaにイラストを取り込む
イラストを配置したいときは、canvaにイラストを取り込んでから、ページに追加していきます。
まず、canvaにイラストを取り込むため、左側の「アップロード」ボタンをクリックします。
次に、右側に現れた「ファイルをアップロード」ボタンを押すと、PC内のフォルダ選択画面になるため、フォルダから必要な画像を選択し、アップロードしましょう。
事前に「絵本用イラスト」などのフォルダをPCのホーム画面などに作ってイラストデータをまとめておくと、アップロード作業が楽になります。
画像(絵本イラスト)を配置する
canvasへ画像のアップロードが終わると、画面左側のエリアから画像を選択できるようになります。
イラストを選択できるようになったら、画像や文字を配置していきます。
まず、左のアップロード画像をクリックすると、右のページ中央に選択した画像が追加されます。
その画像を長押ししたまま動かすと移動ができ、1回クリックすると選択状態になり、サイズを調整できるようになります。
イラストや背景をページの端まで配置したい場合は、拡大して大きく配置しましょう。
PDFデータを書き出す
すべてのページが完成したら、一旦PDFデータとして書き出します。画面右上の「共有」をクリックし、表示されたメニューから「ダウンロード」を選択してください。
ダウンロード設定画面では、「PDF(標準)」を選択します。すべてのページが選択されていることを確認し、ダウンロードボタンからPDFデータをダウンロードしてください。
このあとは、コミッククリエイターでmobiデータに変換することで、KDPへアップロード可能になります。詳しいやり方は詳しいやり方は記事後半「PDFデータをmobiデータに変換する方法」の章よりご確認ください。
KDP電子書籍用の絵本の表紙データ(JPG)の作り方
KDPの電子書籍では、表紙データをJPGで用意する必要があります。電子書籍の表紙はAmazonの販売ページに表示されます。
イラストとタイトルのみの配置でもいいですが、上の画像のように、表紙画像の下に宣伝文句のようなものを入れると、帯の役割となりどんな本なのかがイメージしやすくなります。
KDP電子書籍用の表紙サイズ
KDP電子書籍用の表紙サイズはKDPの公式サイトより、「高さ 2,560 ピクセル、幅 1,600 ピクセル」が推奨されています。
参考:Amazon KDP 電子書籍の表紙画像が満たす必要がある条件は何ですか?
canvasで表紙用のサイズのプロジェクトをつくる
canvasの「デザインを作成」ボタンより、「カスタムサイズ」を選択、サイズを指定し表紙用のプロジェクトを作成しましょう。
白紙のプロジェクトが表示されたら、そこへ表紙用イラストを入れ、下部に帯用の図形「■」を入れてみましょう。
左側のメニューの「素材」を選ぶと、隣に「線と図形」というメニューが表示されるので、そこから四角の図形を選択します。すると、画面上に四角の図形があらわれます。
この図形は移動や変形が可能なので、下部に移動し、サイズを調整しましょう。上部のメニューから、カラーも変えられます。
ここへ好きな文字をのせれば、表紙画像の完成です。
あとは、右上の「共有」ボタンからJPGデータとしてダウンロードしましょう。
データ形式は「JPG」を選択し、ダウンロードボタンでダウンロードします。
これで、表紙データは準備完了です。
PDFデータをmobiデータに変換する方法
さて、先ほど電子書籍のPDFデータをダウンロードしたかと思いますが、KDPにアップロードできるデータ形式にするには、mobiファイルというデータ形式に変換しなければなりません。
ですが、ご安心ください。Amazon kindleのコミッククリエイターというフリーソフトを使用し、これからお伝えする通りに作業すれば、誰でも簡単にPDFからmobiにデータ変換が可能です。
まずは、コミッククリエイターのダウンロードから始めていきましょう。
kindleのコミッククリエイターをダウンロードする
まず、以下のkindleリンクへアクセスし、コミッククリエイターのソフトをPCにダウンロードしましょう。
Kindle Comic Creator のダウンロードページ>>
Windows版とMac版がありますので、お使いのPCに合わせてダウンロードしてください。
ダウンロードが完了したら、デスクトップに以下のようなアイコンが表示されます。
コミッククリエイターでmobiファイルに変換する前の準備
コミッククリエイターのダウンロードが完了したら、ソフトを開く前にひとつやることがあります。
それは、mobiデータのダウンロード用のフォルダを作っておくことです。
ソフトの仕様上、ダウンロード場所として空のフォルダを選択する必要があるため、デスクトップなどお好きな場所にフォルダをひとつ作っておきましょう。
KDPへのデータアップロードをスムーズにするため、表紙用JPGデータと本文用mobiデータは同じフォルダに入れておくと便利です。
ただし、mobiファイル用のフォルダは空のフォルダを用意する必要があるため、中にデータを入れないよう注意してください。
コミッククリエイターでPDFをmobiに変換する手順
それでは、コミッククリエイターを開き、本文用PDFデータをmobiファイルに変換していきます。
まずはコミッククリエイターのトップページから、「新しい本を作成」を選択してください。
続いて、本の情報入力の画面になるため、以下のように設定していきます。
※初期設定からの変更部分のみ表示しています。
次の画面では、タイトルや作者名などを入力していきます。特に公表されるデータではないため、あまり気にせずサクサク入力しましょう。
タイトルとン前を入れたら、カバー写真として電子書籍用に作った表紙画像を選択します。
「ブラウズ」をクリックするとファイル選択画面になるため、電子書籍用の表紙データを探して選択しましょう。
ちなみに、表紙データはmobiファイル内に表示されるわけでなく、特に公表もされませんが、設定上入力する必要があるため飛ばすことができません。
次に、mobiデータの保存先として、先ほど作った空のフォルダを選択します。
これで、設定はすべて完了。最後に、「ページの追加を開始」をクリックします。
「ページの追加を開始」をクリックすると、本文用PDFデータの選択画面になるため、mobiファイルに変換したい本文用データを選択しましょう。
PDFファイルを選択し、「開く」をクリックすると、mobiデータが生成されプレビュー画面に移行します。
ページに間違いがないことを確認したら、上部のメニューから「ビルド」をクリック、「ビルド&プレビュー」を選択しましょう。
ビルド&プレビューをクリックすると何やら英文が流れてプログラムが作動し、最後にOKボタンが出現します。
「OK」を選択すると、選択した空のフォルダにmobiデータが保存されます。
あとは、画面右上の「×」ボタンを押して、コミッククリエイターを閉じてOKです。
mobi用に作ったフォルダをみてみると、いくつかファイルが保存されています。このうち、タイトルが表示されたファイルが、KDPにアップロードするmobiファイルになります。
これで、電子書籍用のデータ準備は完了です。
次回は、KDPの電子版絵本の出版手続きの方法をご紹介していきます。
【KDP絵本出版マニュアル⑥】KDPの電子版絵本の出版手続き>>
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